「コロナウイルスに感染して発症する人は、40歳以上に多いと言われていますが、経絡的な理由があるのでしょうか」と町会長。

「昔から腎機能の低下が老化の原因とされ、健康な人でも腎機能の低下によって四十肩とか五十肩、更年期障害などが引き起こされると考えられてきました。医学的にも、透析患者の増加に伴って腎機能低下の問題が研究され、加齢と腎臓の機能の間に明確な関連性があることが分かっています。」

「肺の原初的な自然免疫力の低下が加齢に伴う腎臓の機能低下と関連しているということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「40歳になると、どのくらい低下するのですか」と町会長。

「ウェブを調べたら、茨城県立中央病院の『人間の腎臓機能の推移』というグラフが見つかりました。それによると、20歳ごろの腎臓の機能を100とすると、健康な人でも毎年1パーセントずつ低下していきます。」

「それでは、40歳になると、腎臓の機能は20歳のときより20パーセント低下してしまうということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。生活習慣病の高血圧や糖尿病が加われば、年間2パーセントから場合によっては5パーセント以上下がることもあるそうです。しかし、20パーセント低下しても、医学的には、腎臓に問題があるとは考えられません。誰にでも起こることですから。医学的な問題が生じるのは、20歳ごろ腎臓の機能の10パーセントぐらいにまで低下したときです。」

「なるほど。それでは健康な人でも、70歳ごろになると、若いときの50パーセントぐらいしか腎臓の機能がないということですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「腎臓の機能が低下すると、なぜ肺の機能が低下するのですか」と町会長。

「僕が自分の体を使って人体実験した結果から考えると、腎虚肺虚という状態になって肺の機能が低下すると考えられるのですが、古典的な東洋医学には腎虚肺虚という概念はありません。」

「鍼灸の学校では、腎虚肺虚ということを教えていないということでしょうか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

2020/1/30